前半ではクラフトに使われるワイヤーの金属について解説しました。
後半は5種類のワイヤーの形と3種類の硬さ、そしてゲージについて解説します。
前編と同様に、この記事ではフリー写真素材として楽天アフィリエイトを利用しています。 写真をタップすると、ほかの記事のように拡大されるのではなく楽天に飛ばされるのでご注意ください。
ワイヤーの形
ラウンドワイヤー(丸線)
断面が丸い、普通のワイヤーです。このブログでは基本的にこのワイヤーしか使いません。
というか、私はこれしか使ったことがありません。これ以降ほかのワイヤーのことをよく知っているかのように書いていますが、すべて想像なのでご了承ください。
ハーフラウンドワイヤー(半丸線)
断面が半円形のワイヤー。
平たい方を裏側にして太いワイヤーに巻き付けると、ラウンドワイヤーを巻き付けたときより座りが良くて撚れにくく、隙間ができにくいです。
カボションを留めるときも、平たい面をカボション側にすればラウンドワイヤーよりも滑りにくく、しっかり留められると思います。
スクエアワイヤー(四角線)
讃岐うどんのような断面が四角いワイヤー。
ラウンドワイヤーと同じような使い方ができますが、ラウンドワイヤーとは光の反射の仕方が違うので使い分けると面白いでしょう。このワイヤーをねじって装飾に使うのもいいと思います。
フラットワイヤー(平線)
きしめんのような平たい板状のワイヤー。
私はこのワイヤーを作品に使っている作家さんをあまり見たことがありません。
これで枠を作ってレジンの型にしたり、下の写真のように、このワイヤー自身の美しさを生かしたシンプルなアクセサリーを作るのに適していそうです。
ベゼルワイヤー、フレーミングワイヤー、ギャラリーワイヤー
カボションを固定するための爪がついたワイヤー。
初めから綺麗な透かしや装飾が施してあって、これでカボションのフレームを作るだけで簡単にペンダントを作ることができます。
ワイヤーの硬さ
ワイヤーの硬さは3種類
クラフト用として販売されているアメリカ製のワイヤーには、加工のしやすさや仕上がりの形状保持力を示すために、以下の3つの硬さの区分があります。
- デッドソフト(Dead Soft):金属を溶ける寸前まで加熱して(焼きなまし)、柔らかくしたもの。曲げ加工や成形がしやすく、細かい細工が可能です。ただし、強度が低いので構造的に負荷がかかる用途には向きません。ワイヤーラップやワイヤーウィーブにはこれを使います。
- ハーフハード(Half Hard):焼きなましたワイヤーを急速に冷やして(焼入れ)硬くしたもの。デッドソフトとフルハードの中間の硬さ。バングルのフレーム、クラスプ(留め具)、ピアスフックなど、変形させたくない部分にピッタリです。
- フルハード(Full Hard):長い時間焼入れがされたもの。強度が高く耐久性に優れ、力を加えても形が戻ろうとする性質(ばね性)があります。大きな作品のフレームや支持部材などに適した硬さで、ハンドメイドジュエリーにこれを使うことはあまりありません。
日本製のワイヤーの場合
日本でもJISによってワイヤーの硬さが「軟質」「半硬質」「硬質」の3つに分けられていて、軟質がデッドソフトに、半硬質がハーフハードに、硬質がフルハードに相当します。…が、これらの分類は主に電気関係や産業用途で使われるため、クラフト資材店で目にすることはほぼありません。郊外の小規模なホームセンターで販売されているのも、銅線の場合は軟銅線か、硬さに関する表記がないものばかりです。
そのため、私のように日本製の銅線を使う場合は「軟銅線」一択となってしまいますが、金属には曲げたり叩いたりするなどの加工を行うと徐々に硬くなる性質(加工硬化)があるので、硬さの調節は可能です。(ナイロンジョープライヤーを使うと簡単)
それに軟銅線もメーカーによって硬さがけっこう違うので、複数のメーカー製品を買って使い分けるという手もあります。
ワイヤーの太さ(ゲージ)
ワイヤーの太さの規格は日米で異なる
ワイヤーの太さにも規格があって、線番という番号で呼ばれます。表示の仕方は例えば20番の場合、#20と表すことが多いです。
線番は数字の小さいものほど太く、数字の大きいものほど細くなります(例えば、#20は#14より細い)。ワイヤーの元となる金属の棒を引き伸ばした回数が線番となったので、大きい数字ほど細いのだそうです。
輸入されたジュエリー用のワイヤーは大抵がアメリカ製で、アメリカのAWG(American Wire Gauge)という規格に準拠しています。
一方、日本で市販されている日本製ワイヤーはSWG(Standard Wire Gauge)という規格です。(はっきりそう書いてある情報は見つからないですが、実際に販売されているワイヤーの太さとSWGの規格表を照らし合わせるとほぼ一致します)
AWGとSWGは同じゲージ番号でも太さが違っていて、SWGの方が少し太いです。このブログで解説している作品はすべてSWGのワイヤーを使っているため、このブログの作品を輸入ワイヤーで作る場合は、下にあるワイヤーサイズ表を参考にして、近い太さのワイヤーを選んで下さい。
日本にはジュエリー用のワイヤーを専門に作っているメーカーが存在しないので、日本規格の金や銀などの貴金属ワイヤーは市販されていません。(工業用に大口販売はされているらしいけど)
そのため、将来は貴金属ワイヤーで製作をしたいと考えているなら、銅線も輸入品を使って、太さに慣れておいた方がいいかもしれません。
コーティングがされたワイヤーの太さ
エナメルやポリウレタンなどでコーティングがされたジュエリー用のワイヤー、特に細いワイヤーは、個人的な経験から言って少し注意が必要だと思っています。
コーティングワイヤーは、コーティング後の太さが規格に合うように作られています。
例えばAWG規格の#28ワイヤーは0.3mmですが、これはワイヤーにコーティングをした上での太さとなっています。つまり中心のワイヤーは0.3mmよりもっと細いです。
そこまで細いと、周りの薄いエナメル層ごときのバネ性に負けてもとの形に戻ろうとするので、ビーズを留めたワイヤーが解けてきたり、太いワイヤーにコイル巻きしたものが緩んできたりで、ほんの少しだけ、イライラしました😅
(このブログで作っているような作品には向かないのかな?)
ジュエリー/クラフト用ワイヤーゲージ表
以前はアルミワイヤーも記載していたんですが、アルミは1.0mm、1.5mm、2.0mmなどキリのいい数字が多いためか、ゲージ番号で呼ばれることが少ないので削除しました。
この表は個別ページにもあります。サイドバーにもリンクがあるので、どのページからでもアクセスできます。
一覧表は#10から#34まであります。表内をスクロールして下さい。
- AWG:ジュエリー用の外国製ワイヤーの規格
- Artistic:アーティスティックワイヤー
- らく:らくまくワイヤー
- SWG:このブログで使っている日本製ワイヤーの規格
| 線番 | AWG | Artistic | らく | SWG |
|---|---|---|---|---|
| #10 | 2.59 | 2.6 | 3.25 | |
| #11 | 2.30 | 2.95 | ||
| #12 | 2.05 | 2.1 | 2.64 | |
| #13 | 0.83 | 2.34 | ||
| #14 | 1.63 | 1.6 | 2.03 | |
| #15 | 1.45 | 1.84 | ||
| #16 | 1.29 | 1.3 | 1.29 | 1.63 |
| #17 | 1.15 | 1.42 | ||
| #18 | 1.02 | 1 | 1 | 1.22 |
| #19 | 0.91 | 1.02 | ||
| #20 | 0.81 | 0.81 | 0.8 | 0.91 |
| #21 | 0.72 | 0.81 | ||
| #22 | 0.64 | 0.64 | 0.6 | 0.71 |
| #23 | 0.57 | 0.61 | ||
| #24 | 0.51 | 0.51 | 0.5 | 0.56 |
| #25 | 0.45 | 0.51 | ||
| #26 | 0.41 | 0.41 | 0.4 | 0.45 |
| #27 | 0.36 | 0.42 | ||
| #28 | 0.32 | 0.32 | 0.3 | 0.38 |
| #29 | 0.29 | 0.35 | ||
| #30 | 0.25 | 0.26 | 0.25 | 0.31 |
| #31 | 0.23 | 0.3 | ||
| #32 | 0.20 | 0.2 | 0.2 | 0.27 |
| #33 | 0.18 | 0.25 | ||
| #34 | 0.16 | 0.16 | 0.16 | 0.23 |
私が使っているワイヤー
以前は下の写真の「田舎道具」と書かれている方のワイヤーが気に入っててよく購入していたんですが、このメーカーは#24以下の細いワイヤーの製造を止めてしまったのか、どこにも見かけなくなってしまいました。
それで最近、細いワイヤーはダイドーハントのワイヤーを使っています。写真のリンクは楽天ですが、今これを書いている時点ではアマゾンの方が安いです。








